健康を構成する主な要素は、運動・栄養・休養・睡眠・メンタルだと私は考えています。そしてこれらの要素は、おおよそ制御可能です。

ただし、これらは独立して存在しているわけではありません。

一つの要素が変化すると、他の要素に影響し、その変化がまた別の要素に波及していく。そして変化した全体が、また部分へと影響を及ぼす。常に揺れ動いているシステムです。

健康とは、全体は部分の総和であるという単純なシステムではなく、全体は部分の総和を超える複雑なシステムです。このような系のことを、複雑系と呼びます。

健康に対する、このような考え方がなぜ重要なのか。

「食事だけ変える」「とにかく運動する」——といった、よくある一つの要素だけに集中したアプローチが長続きしない理由が、ここにあるためです。

例えば、実際によくみるケースで考えると、

長時間労働

→ ストレスと疲労の増加

→ 睡眠不足+質の低下

→ 食欲の制御が困難+運動意欲の低下

→ 体重増加

この状態で「ダイエットのために食事制限しましょう」と言っても、うまく機能しないのは当然です。システム全体を見ていないからです。

そのため全体をまずは評価しなくてはなりません。全体を捉え、クライアントの資源(体力・気力など)を考慮に入れ、目的に沿って優先順位をつけ、現実的に介入する余地のある箇所へ働きかけていくことが肝要です。部分が変わると、全体が変わり始めます。変化した全体を再評価して、またその時に適切な箇所へ介入する。それを繰り返していくわけです。

このサイクルを回し続けると、あるものが見えてきます。自分特有の習慣のクセです。

その自分特有の習慣のクセのうち、良いものは残し、悪いものは少しずつ変えていくのです。このような取り組み方ではじめて、無理のない習慣の改善が起きるので、リバウンドも起こりにくくなります。

大切なのは、best ではなく better。

常に完璧な選択を取り続けようとすることは非現実的です。それよりも、今よりちょっとだけ良い選択を取り続けること。その小さな変化が、全体を動かし始めます。

もし今、どこから手をつければいいかわからない状態にあるなら、それがむしろスタートラインです。一緒に考えていきましょう。